２０１０年の秋頃だったと思う。
ブログ村である犬ブログに偶然出会った。
ウチの犬と同じ犬種「パピヨン」のブログで、それはそれは可愛らしい女の子（犬）の日常を綴ったブログだった。
犬の名前は「T子ちゃん」
私はその可愛さ、コスプレの面白さ、優しいタッチの文章、犬目線のつぶやき、要するに「T子ブログ」の全てに夢中になった。
心を奪われたといっても過言ではない。
２０１０年の時点でブログ歴何年だったかもう記憶が曖昧だが、毎日投稿されているそのブログをあまりの可愛いさと面白さで一気に読みきる程だった。
毎日更新される投稿がとても楽しみになった。
そのうち、こんなに楽しく読めて、笑えて、元気を貰えることが本当に嬉しくて感謝の気持ちが溢れるようになり、勇気を出して作者さんにメールを送った。
それは私が書いた初めてのファンレターだった。
ウチの犬が「Ｔ子ちゃん」とよく似ていたこともあり、写真も添えて送ったと思う。
すぐに丁寧なお返事を頂き、私達は時々メールでやりとりをするようになった。
お互いのプライベートなことも少しづつ書いて同じ犬種の犬を飼っていることで話題は尽きずあれこれとやりとりをした。
そして初めは躊躇していたが、いつの間にか私は毎日コメントを投稿するようになった。
記事は季節の行事、例えば節分の鬼、バレンタインデー、誕生日、子供の日、クリスマスなどを通してコスプレする様子のたくさんの写真と面白おかしい文章で綴られて、コメントせずにはいられなくなったのだ。
ナース、スチュワーデス、幼稚園児、ビキニのお姉さん、ＪＫ（女子高生）、トナカイ、獅子舞、ジュリエット、作者さんの亡きお母さん、と記憶にあるコスプレをちょっと書き出すだけでもいくらでも出てくる。
コスプレのジャンルはその様に多岐にわたりどんな衣装や被り物も楽々こなす「T子ちゃん」の姿は本当にモデルそのものだった。
コメント欄では私と同じように「T子ブログ」を心から愛し応援したいという気持ちの同志が集っていた。
「Ｔ子ブログ」の雰囲気そのままのあたたかさと思いやりに満ちたコメント欄は大層心地よく私の毎晩の楽しい日課としてその後何年も定着した。
「T子ちゃん」が１４歳で虹の橋を渡ってからも暫くブログは続いたけれどやがて更新されなくなって、残念ながら今はもう閲覧さえできないのだけれど。
だから私がブログ村といって真っ先に思い浮かぶのはその「Ｔ子ブログ」だ。
やがてその日の記事を受けコメント欄でどれだけ面白可笑しく、私の思いつきや自由な発想を言葉にするか、他の誰かと似通ったコメントにならないように誰とも違う視点で書くか、シャープな一言で心に刺さるコメントを残せるかと考えるようになった。
それは私のコメントが作者さんの励みとなるように、ブログが盛り上がるように、皆さんにも笑ってもらえるようにという純粋な気持ちからだったがそんな思いで書き続けるうちに、作者さんや常連さんからも私のコメントは注目されるようになっていった。 あれだけの人気ブログであったにも関わらずちゃんと「コメント受け」もしてくださり反応してくださる作者さんだったから。
私はバカバカしい妄想のストーリーなどを大真面目にいくつも考え、それはブログの記事となって紹介された。そんな風に私は初めてオンライン上での繋がり、人との関わりというものを体験しその楽しさを知った。
「書く」ことで「伝える」「繋がる」という体験をし作者さんや皆さんに楽しんでもらえることがそのまま私の喜びとなった。
魅力のあるブログにはそれ程の力があると思う。
その時の体験がなければ今の私の「書く」ということにおいて今ほどの「率直さ・自由さ」はなかったかもしれないとさえ思う。
「T子ちゃん」の毎年の誕生日はやがてファン参加型の記事となり、いつものコメント欄の常連さんに限らずたくさんの方が飼っている犬の写真を送り「T子ちゃん」の誕生日パーティに参加するというとてつもなく大掛かりなものになった。
パーティ会場も凝りに凝った妄想の世界で作られ私たちファンはその世界観を存分に楽しませてもらった。
最後までオフ会は叶わなかったけれど、今も私の心に残る「T子ブログ」
私にとってブログの原点ともいえる。
今から１０年以上も前の事になるので現在ぶろぐ村の登録者数はけた違いに増えたし
当時とは色々と勝手も違う。
諸般の事情を鑑みて私も今はコメント欄は閉じているがいつかこのブログのカタチを確立し変えていけたらと思っている。
ブログはやっぱり書き手が楽しく続けられること、そしてその楽しさが誰かの心にちゃんと届く事まずはこれが一番大切だろうと思う。
私も大切にこのブログを魅力あるものに育て私自身も育っていきたいと思っている。
＊文中のブログは現在公開されていないようですのでブログ名は架空のものです。
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