葬儀の費用は見栄と懐事情の狭間で揺れる♪

嫁の気持ち、姑の気持ち

遅ればせながら、いや、ホントかなり遅ればせながら今、垣谷美雨さんの著書「老後の資金がありません」を読んでいる。

因みに天海祐希さん主演の映画も話題になっていたのに観ていない。

とにかくこの本、評判通り面白くて、面白過ぎてまだ半分くらいの所だけれど、気になる件や心に刺さるエピソードがたくさんある。楽しい♪

中でも葬儀の費用の件は今年に入って姑の葬儀を執り行ったばかりの私にとっては、妙にリアルに感じた。

主人公の後藤篤子(50代)はパート主婦。パートで働き家計を支えながら慎ましくやりくりをし娘と息子を育てた。倹約家の篤子のお陰でマンションのローンを返済しながらも現在の預貯金、即ち老後の資金は1200万円。

老後はこの預貯金と年金、サラリーマンの夫の退職金でなんとかなるだろうと思っていたのに当てが外れ想定外の問題が続々と起こる。
自分のパートは契約が延長されず無職になり、その上夫の会社は倒産し退職金がなくなる中で、まとまったお金が次々と入り用になるのだ。
娘の結婚費用で500万円と舅の葬儀費用と墓で400万円使い、とうとう残りは300万円を切ってしまった。

この辺りまで凄いテンポで物語が進んで、まるでジェットコースターを一気に急降下する感じ。
恐ろしい~(>_<)生きた心地しない~

でも、篤子に共感しまくりのところが正直多い。
一般的に主婦は篤子に似た金銭感覚を持ち合わせているのではないかと思う。
篤子は普通よりさらにしっかり者な感はあるが・・・

なんといっても、舅の葬儀費用全額負担というのはあまりに気の毒だ。
当てにしていた香典は大して入らず、その上妹夫婦と折半することさえできない。
この夫の妹が随分と強者だ。

そもそも自分の葬式代くらい残して逝ってもらわないと子供は困るのだ。本当に。

こんな話しが現実に起こったら誰しも気絶したくなる。
でも、小説の中の話しではあるが妙にリアリティがあって全くの絵空事、他人事とは思えず、一歩間違えると自分の身にも起こり得るという臨場感があって小説に引き込まれる。
映画が大ヒットしたのも頷ける。

しかも舅が亡くなっても姑は引き続き高級老人ホームに入居し続けるため、これまで同様に毎月9万円の仕送りが必要とのこと。
自宅を売却した時の2億円は浪費ですっからかんになり、子供の援助が必要になるという親が実在するとは考えにくいが、予想を超える長生きにより2億円が底をついてしまったという設定に「なるほどなぁ、寿命は分からないからねぇ」と頷いてしまう。

どういう葬儀にするかは生前に本人の希望と予算が明確になると子供は楽だと思う。

ウチは夫も夫の弟も早く亡くなった為に、姑の葬儀を取り仕切るのは長男の嫁である私の役割だった。
でも、こと葬儀については困らずに済んだ。
それは姑がどういう葬儀にしたいかをエンディングノートに書き記しておいてくれたからだ。
生前、姑自身からも「葬式があんまり簡素では、お別れの時に私の弟や妹が悲しむから、おじいちゃんの時と同じようにしてね、お願いしますね」
と直接聞いてもいた。

10年前に亡くなった舅の時と全て同じように、というのが希望だった。

だから篤子のように、30万円の祭壇と120万円の祭壇はどう違うのか、と見栄や親類への体裁と懐事情を天秤にかけながら決めかね悩む必要はなかった。
葬儀の費用もちゃんと工面してくれていて本当に有難かった。

もし、姑の意向が全く分からなかったら、やっぱり困ったと思う。
できることならお値打ちに。
という気持ちと
最後のお別れ、ちゃんと送り出してあげたい、お花はたくさん飾ってあげたい、そもそも親戚がどう思う?
という気持ちの狭間で揺れたと思う。

家族葬でも何だかんだで、結構な費用に膨らむ。
祭壇の金額が一番大きいが、これによって随分見映えは変わってくるというのが実感。
でも、ホール使用料、霊柩車、火葬料金、遺影の写真の加工費用、ドライアイス、祭壇お供え、枕花辺りは外せないし、選択の仕様がないものが多い。
本の中では、ホール使用料10万円、霊柩車5万円、枕花3万円と葬儀会社の人が説明する件があったが概ね現実的にもその辺りだった。

御棺や会葬お礼粗品、飲食代などは多少工夫はできるかもしれないが、慌ただしい中で冷静に判断することは難しいと思う。
テレビCMで家族葬パックでいくら、というのをみかけるがお寺へのお布施は別料金のハズ。
戒名だって必要だし、お墓があっても墓誌への刻印、四十九日法要など入り用は続く。

施設への入所や介護サービスを受ける場合は親の年金の範囲内で、尚且つ親が残してくれたお金で葬式、法要まで行う。
これが理想で親を送り出す子供一同の希望です(笑)

介護に関して「年金の範囲内」ってところのハードルがそもそも高くて
葬式に辿り着くまでにも色々な壁にぶちあたるんだよね、きっと。

「老後の資金がありません」全部読んだらまた感想を書きたい、と思っています(^^)/

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最後まで読んでくださり、ありがとうございます(^^)/

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